本村さん

山口県光市の母子殺害事件。事件後しばらく経ってからだと思うが、たしか文藝春秋?に本村さんの手記が掲載される、との電車の中吊り広告を見て、なんとなく(というか事件やその後の経過に興味があったので)その雑誌を買って読んだ。

読むんじゃなかった。事件当日の克明な描写。そのときの気持ち。日常から非日常へに突然突き落とされる恐怖と、その非日常が日常になってしまう恐怖。それ以来毎日深夜の帰宅が怖くて仕方がない。鍵を開けてシーンとした家の中で聞き耳をたてるとき、殺された妻と娘が押し入れに押し込まれている想像を禁じ得ないのだ。そして、その後自分ならどう生きるか?というところまで想像は進んでいく。しかし、現実の家族の安らかな寝顔を見て、ああよかった、自分は幸せだと喜びを噛み締めながら想像は途中で途絶える。

そんなクセがその後何年も(いまだに!)続いている。それくらいインパクトがあったのだ。そしてそのせいで、家族を大切にしようという気持ちがより強くなった。かもしれない。

本村さん、再婚したんだ。よかった。