朝ドラ「まんぷく」を讃える
横浜のカップヌードルミュージアムには何度も行っておりましたので、日清食品の創業者安藤百福さんについてある程度の知識はありました。またWikipediaを見て、かなり壮絶な人生を送った方というのもなんとなく知っておりました。なので、このドラマには最初から大変楽しみにしておりました。
この作品が素晴らしいと思う点はいくつかありまして、例えばキャスティング(安藤サクラや松坂慶子など)もあるでしょう、だが私は福田靖さんの脚本を真っ先に挙げたい。以前から龍馬伝とかガリレオとかは観ていて好きだったので、今回も期待はしていたのですが、初回からずっと感心しっぱなし。伏線の張り方や話の展開の仕方が非常に巧み。最終的にインスタントラーメンをつくることになることはわかっているので、それに至る過程のひとつひとつがそこにつながって、徐々に組み上がって構築されていき完成に向かうという全体の骨組みは、ある意味海外ドラマによく見られる構造かも。「デスパレートな妻たち」「SUITS」など、1シーズンごとに全体に渡って軸になる謎ときやテーマがあって、かつ各話ごとに短いエピソードがある、というような。時代劇とかも幕末のドラマ(忠臣蔵とか坂本龍馬とか)もそうだといえばそうなんですが、そのあたりの話は細かいエピソードまで知られすぎていて、徐々にパズルが埋まっていく快感みたいのはあまりないんですよね。そして、朝ドラにふさわしい適度なハラハラドキドキ感、また、ゆったりしていてかつ間延びしない適度なスピード感、もう心地よすぎて何回でも観たくなる、いや実際NHKオンデマンドで何度も観てまうわ。
私が好きな朝ドラは「あさが来た」「マッサン」など、それまでにないビジネスをつくり上げた人の物語に感動を覚えます。先週、ついにラーメンが完成した回は思わず泣いてしまいました。そして自分もがんばろうと強く思いました、ええ、単純な性格なんで。
ちょうど最近考えていたのが、今の時代は仕事が細分化されすぎて、商売というものの全体像をイメージせずに働いている人がほとんどなのではないか?ということ。そういう意識が強くなったのは三枝匡さんの3部作を読んだ影響もあります。新しい商品を開発し、製造し、売る、というのが商売の基本。メーカーとかでなくてもどんなサービスでも「商品を開発する」という過程は必要なはずなんですが、今の時代は働く人の職種が細分化されすぎて最初から役割が決まっているので、自分はただつくるだけ、売るだけ、みたいな意識の人が多いのでは。世の中に無い新しいものを開発して人々に提供する、という喜びはどんな仕事にもあると思うんだけどなあ。まあとにかく、開発する、製造する、売る、それぞれの過程の苦労と喜びがこのストーリーに凝縮されているわけで、それはつまり仕事の喜び、人生の喜びが凝縮されているわけです。いやホント、がんばろう。