マインドコントロールの基礎
> マインドコントロールの基礎 – レジデント初期研修用資料
「君、なんだか評判悪いみたいだね。でも僕は君の味方だから」
・・・これは効果的な文句だ。ここでは上司から部下への設定だが、逆の立場でもかなり効果的に機能するのではないか?これを読んで、身の回りで思い当たるところが沢山(本当に沢山!)あって納得というか、怖いというか・・・。
例えば社長が社員から「Aさんが、社長のことを外で悪く言っています。でも私は社長の味方です」と言われたらどう思うだろうか。Aさんへの信頼はガタ落ち、言った社員との絆は強くなる。そんなに簡単に信じるなよ、とか、本人に聞けばわかるだろう、とか思う人もいるかもしれない。本人はおそらく「まさか!そんなことはまったくのデタラメです!」と言うだろう。でもこれが不思議と、本人の言葉は聞けば聞くほど疑わしく思えてくるのだ。そのへんの人間心理をもうちょっと詳しく研究している学術的な根拠などあるかもしれないが・・・
特に、社長や経営者や責任者などは孤独な立場だ。だから、意外と社員や外部からの評判に敏感なものだ。そこがむしろこっちの設定の方が頻繁に世の中にあるのではないか、と思う所以だ。そして誰かが意図的に仕組んだものばかりではなく、自然発生的にこういう誤解がいたるところに生まれている。
「曇りなき眼で世の中を見定める」のは本当に難しい。私も日々自分の中の偏見や思い込みと闘うのに必死だ。自分は人を過大評価していないか、過小評価していないか、偏った見方をしていないか、誤解してはいないか。そして歯がゆいのは、あきらかにこの罠にはまっている人が身の回りに(本当に沢山!)いるのに、それを説得して納得させるのは容易ではない、ということだ・・・。
だいたいどんな組織(学校のクラス、スポーツのチーム、会社、などなど)でも派閥や諍いが起きる。その原因の多くはこれではないか。願わくば、自分の周りの人たちが、この罠に気づきますように。そして自分がこの罠にはまりませんように。と、祈るばかり。